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市民公開シンポジウム:「生命科学研究の最前線〜いのちのしくみに迫り、健康を守る〜」
文科省科研費 新学術領域研究「学術研究支援基盤形成」 生命科学連携推進協議会 発足記念 キックオフシンポジウム
科学研究費助成事業
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生命科学連携推進協議会 キックオフシンポジウム 
パネルディスカッション議事録

日時:平成28年8月18日(木)
場所:一橋講堂

議事録

(敬称略)

今井浩三(生命科学連携推進協議会 研究支援代表者):
では、パネリストの先生方、恐縮ですが、壇上にお上がりいただけますでしょうか。よろしくお願いします。小原先生、狩野先生、中村先生、田中先生、清水先生、宮脇先生、鯉沼先生、丸山先生、上野先生です。
ただいまから、生命科学連携推進協議会の発足、それから、4プラットフォームの発足を記念した、キックオフシンポジウムの最後のパネルディスカッションとさせていただきます。壇上には、本日ご発表のありました各プラットフォームの代表者、あるいは、その代理の先生が上がっておられます。また、その後にお話されましたシンポジストの皆さま、あるいは、その代理の先生が上がっておられます。
だいたいの順番ですが、まず各プラットフォームの領域の代表者の先生、あるいは代理の先生から、一言ずつ、現在の状況、あるいは支援を活発化させるための方策等、つまり課題も含めて現在のところお考えになっていることを、それぞれ3分程度でお話いただければと思います。
その次にシンポジスト、あるいは、その代理の先生方から、ご質問やコメントをいただくというかたちで、各2分ずつお話いただきます。そうすると20分ぐらいになります。その後、フロアの皆さまからご意見をいただいて、利用者の立場、特に科研費をもらったばかりの方、比較的少額の科研費でがんばっておられる先生方からのご要望をいただき、それに対して、お答えできるところはお答えするということで考えております。そして、さらに時間がありましたら、特に領域代表の小原先生や狩野先生から少しお話をいただこうという段取りでございます。
最後に、国際的な支援のシステムというのが先進国ではかなり整っておりますので、それについて、今回、既にこのプロジェクトで海外にご出張された上野先生の方から、スライドを使って5分程度お話をいただくことになっております。だいたい時間どおりに終わりたいと思いますので、最後まで皆さまのご出席をお願いいたします。
 それでは始めさせていただきます。まず各プラットフォーム代表者の先生方から、3分程度で現状や、支援を活発化させるための方策等について、ご発言をお願いします。まず、ゲノムプラットフォームの小原先生から、よろしくお願いいたします。

小原雄治(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム 研究支援代表者):
ゲノムを運営している側からお話をしますが、最後に丸山先生がお話になったように、最初は分からなかったけれども、難しくてもやると、いろいろと元気が出てきます。ですから、いろいろなことをしたいのですが、ご要望がたくさんあって、なかなかすべてにお応えすることができません。ゲノムの解析も、最初にお話したように、どんどん進んできまして、基盤Cから若手Bも含めて、少額の科研費の方からも、結構大きな額が必要な支援をやってきました。ですが、やはりお金もかかりますし、たくさんの方を支援したいということもあります。その辺りのジレンマに悩んでおります。
 それで1つの解決方法として、外注でできるものは、どんどん外注でやってもらうということです。もっと難しいもの、あるいは本当にやらなければいけないものをやっていかないと、これは持たないだろうと思います。あるいは逆に言えば、それを全部お金をいただくということもあるのですが、それをすると皆さんの研究費もなくなるでしょうから、それは不可能です。ですから、どういうものを、ここでやると、まさに一番金メダルにつながるのかということを考えなければいけない。そこを現状として悩んでいるところです。お知恵をいただければ、ありがたいと思います。

今井:ありがとうございます。本当に、最後の演題なども、ゲノムで新たな領域が開かれるということで、私も大変楽しく聞かせていただきました。それでは次に、バイオイメージングの領域から、狩野先生、よろしくお願いします。

狩野方伸(先端バイオイメージング支援プラットフォーム研究支援代表者):
はい。説明のときのスライドにもありましたが、今の小原先生とも共通するところで、バイオイメージングでも、やはり、なるべく高いレベルの研究を支援したいということがあります。具体的に言いますと、レベル1、2、3という三角形があったと思いますが、レベル1というのは、既存の技術、計測機器を使いたいという場合で、そのときはわれわれがやっているトレーニングコースや、生理研の共同利用の方を利用していただくということです。それで、オーダーメード型の支援を考えています。そうは言っても、別に初心者を排除しているわけでは、けっしてありませんので、採択にあたって、常に支援を求める側と支援する側で密接に連絡を取って、一番その支援者にとっていい方向に持っていくということです。ですから、スライドにもありましたように、まずプレコンサルテーションという段階を経て、支援者と被支援者が連絡を取って、いい方向に持っていくというやり方をしています。とにかく、相談していただければと思います。
 支援は年2回を考えていまして、今年度は1回目の募集が終わりましたけれども、プレコンサルテーションというのは、いつでもやっておりますので、まずは相談していただいて、有効に活用していただいたらと思います。

今井:ありがとうございます。それでは引き続きまして、先端モデル動物支援のプラットフォーム、中村先生から、よろしくお願いします。

中村卓郎(先端モデル動物支援プラットフォーム):
今井先生に代わりまして、私からご説明いたします。先端モデル動物支援は、先ほどの説明会でもありましたように、旧がん支援と旧脳支援のグループが一体化して、プラットフォームを形成しています。大きく分けると、作製と解析、分子プロファイリングの3つの柱からなっています。今回、モデル動物作製班の中には、多くの皆さんが使ってみたいと思われる、新しいゲノム編集技術を使った支援拠点も入っていますので、大いに活用していただきたいと思います。一方で、このように支援の幅が広がったことによって、いったい、どの支援拠点を利用したらいいのかという疑問も出てくるかと思います。今回、ワンストップサービスという仕組みを作りましたので、まず希望される支援内容を提案して頂き、この課題は従来型のノックアウトやノックインを作るのがいいとか、これはゲノム編集を使うべきだろう、といったことを選定委員会が判断するとともに、被支援者の方と支援拠点とで綿密に打ち合わせをして決定していきたいと考えています。是非、よくご相談してください。
 現時点で、まだ締め切りはどの拠点も終わっていません。病理形態解析は毎週金曜日が締め切りとなっていますが、それ以外のグループでは、基本的に1〜2回目の締め切りが、今月の終わりとなっています。今のところ、モデル動物作製支援をはじめとして順調に申し込みが来ておりますが、まだまだ余裕もありますので、積極的に応募していただければと思います。
 それから、こちらは締め切りが終わったのですが、9月14日から17日に、主に若手の研究者をターゲットとした技術講習会を、合宿形式で長野県蓼科で行います。今年は、80名余りの若手研究者に参加していただいて、各専門家の講習を聞いていただくと共に、若手研究者自身の発表もして頂きます。これからモデル動物を使いたいという希望を持っている人、また、既に使い始めているという若手研究者の支援をしていきたいと思います。

今井:ありがとうございます。それでは引き続きまして、4つ目のプラットフォーム、コホート・生体試料支援プラットフォーム、田中先生、よろしくお願いします。

田中英夫(コホート・生体試料支援プラットフォーム):
はい。コホート・生体試料支援プラットフォームは、先ほど来ご説明しているように、一般健常人コホートと、臨床試料のある生体試料のあるグループ、それから、ブレインリソース、この3つのグループでできております。このプラットフォームになって、同じホームページから問い合わせ、あるいは申請ができるようにはなっているのですけれども、やはり支援を利用する側からすると、どういうふうにアプローチしていいのか分かりづらいということがあると思います。ですので、先ほど、プレコンサルテーションという言葉がありましたが、われわれの方も、まず支援する側とされる側のインタラクション、コミュニケーションをよく取って、どういう目的であれば、どういう材料やデータが必要なのかというようなことを、われわれの方である程度考えた上で、ご提案するというようなことをやっていく必要があるだろうと思っています。
 それから、コホートのプラットフォームの中に、健常人のインフラと、臨床、特に癌のインフラとがあります。それらコホートプラットフォーム内での連携を、これまで以上に取っていくということ、それから、このプラットフォームの中核拠点が東大医科研にあるのですが、そこにはバイオバンクジャパンの疾患コホートとしての生体試料もありますので、そういったところとの連携を、必要に応じてより積極的にやることで、より良い支援をしていくような方向を考えたいと思っています。以上です。

今井:ありがとうございます。それでは、一通り、4つのプラットフォームの方々からお話いただきましたので、今度は、シンポジウムに出られた先生と代理の先生の4人の方にそれぞれご意見を伺いたいと思います。まずは清水先生、岩手医科大学で東北メディカルメガバンクにも関係しておられます。清水先生から、ご質問やコメントをいただければと思います。

清水厚志(コホート・生体試料支援プラットフォーム:コホート):
今回の支援班の先生方は、日本の誇る高い技術を持っていらっしゃる先生方なので、サイエンスという点では、若い先生方が支援を受けて、それこそ金メダルを取るような成果を出すというところは疑いようがないのですけれども、一方で、私が、J−MICCなどの支援あるいは連携を受けて研究を進めた中で苦労したところとしては、サイエンス以外の事務手続き的なところでした。具体的には、今回、研究支援を受ける中で、先ほど宮川先生もおっしゃっていましたが、どこかのグループと連携して、さらに他の機関が入ってと、複数の機関が絡む中で、たとえば今回の支援というのは、あくまでも、ただサポートするわけではなくて、支援側と受ける側が一緒に新しい発見をしていくということもあると思いますので、その辺りの、たとえば知財や契約というところが、なかなか苦労するところもあるのかなと思いました。私がJ−MICCと一緒にやらせていただいたときは、事務局の名古屋大の若井先生が取りまとめてくださったので比較的やりやすかったのですが、今回、この支援の中で、複数の機関が絡むときに、そういう事務手続きや特許のところを、総括の方で少し整理していただけるような、部門のようなものがあると、ユーザー側としては安心して使えるのではないかと思いました。

今井:ありがとうございます。今のポイントは非常に重要ですが、まだ慣れていないところもあります。たとえば、中核拠点の事務局の方も慣れていないことがあって、私共と事務と、話し合いながら進めているところがあります。まだ具体的な問題は出ていませんが、今のお話で、知財や契約の問題といったところは、なかなか難しいところがありますので、少しずつ、なるべく研究者の方がのびのびと仕事ができるような体制を作るようにという文科省の指導もありますので、そういうかたちで進めていきたいと思っています。それでは引き続きまして、このリストの順番で行きますけれども、イメージングのシンポジストでいらっしゃいました、宮脇先生の方からお願いします。

宮脇敦史(シンポジウム演者:イメージング):
今日はイメージングというタイトルで話をさせていただきました。ただイメージングにもいろいろとあって、まさにイメージングのためのイメージングというべきハードコアのイメージングがある一方、ほかの支援技術に貢献しながら進むイメージングがあります。たとえばゲノム解析のためのイメージングなどです。先ほども少し触れましたが、ある蛍光のシグナルを指標にして、ヘテロな細胞の集団を細かく分画し、実験データの鋭敏化を図るアプローチがあります。これは、過去に、セルイノベーションプロジェクトで、菅野先生のアドバイスの下に試みたことです。今回のパンフレットでは、緑、黄色、赤、青で色分けされた縦割りの支援体制が示されていますが、いろいろな横滑りができることが支援側でできることが望ましいと思いました。
 また、逆に、イメージングの技術革新のためにほかの支援技術にいろいろな要求をすることも重要でしょう。たとえば、線虫にしてもマウスにしても、生きた動物を使ってライブイメージングする際は、顕微鏡下に固定することがとても難しい。なるべく動かない動物を遺伝的に作製してしまう。さらに2光子励起観察を行っていると、多大な水の1光子吸収によって熱がどんどん上がったりします。これも熱に強い動物を遺伝的に作製してしまう。イメージングの発展のために先端モデル動物支援でできることかもしれません。とにかくいろいろなニーズとシーズがこの領域の中でぶつかり合い反応することが非常におもしろいのではないかと思っています。

今井:ありがとうございます。他に何かコメントはありますか。特によろしいですか。小原先生、どうぞ。

小原:ゲノムの場合は、まさに宮脇先生がおっしゃるとおりで、まさに1細胞解析は、いろいろなプロジェクトが進んでいます。これは一緒にやらないとだめですし、一緒にやることで初めて生きると思います。ですから、イメージングプラットフォームだけでなく、いろいろなプロジェクトを背景にやっていくということだと思います。それは、やっていくつもりですし、イメージングプラットフォームとも連携していきたいと考えています。

宮脇:もちろん、イメージングでどんどん突っ走ることもやっていただきたいので、いろいろとあっていいと思います。

狩野:一言ですけれども、in vivoのイメージングの重要性というのは、どんどん大きくなってきていますので、これは要望でもあるのですが、どのための動物を、具体的にはマウスを、作るのにも連携が必要だと思います。

今井:ありがとうございます。今のお話に関連して、私も、小原先生のお話を聞いていて、シングルセルの解析をするというのは、今、とても大事だと思いますが、一方でコストの問題があります。そういうものは先生としては、どのように解決されているのでしょうか。

小原:これは、マーキングというか、タグを付けて、なるべくたくさんをプールすることでコストを下げるというようなことを、まさに菅野先生がやっておられるのですけれども、そういうところと、やはり、少し絞らざるをえない。

今井:それは、若い先生がみんなやってほしいと思っていますね。一種のはやりです。

小原:はい。ですから、最初のお試しのところをやってあげて、味をしめたら、自腹を切ってでもやっていただくというようにシフトしていければということです。

今井:菅野先生、何かありますでしょうか。

小原:それと、結局、前処理ができたら、後はシークエンスですから。前処理のところが、まさにエクスパティーズが必要、先ほどのイメージングを使う、といったようなことが必要になります。

今井:なるほど。

菅野純夫(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム):
今、エリック・ランダー博士が提唱して、すべてのティッシュをシングルセルでエクスプレッションプロファイルを作り直そうというプロジェクトがアメリカの主導で計画されています。ですから、逆に言うと、待っているとデータベースが出てくるかもしれないという気もしますが、シークエンスのコストが、どんどん安くなっていますし、新しいシークエンサーも出てきていますので、その辺りをうまく使えればと思います。

小原:あとは、何と何を比べるかというところに頭を使うということでしょうか。

菅野:それがいいと思います。

今井:ありがとうございます。それでは続きまして、動物の方でお話いただいたシンポジストの鯉沼先生、お願いします。

鯉沼代造(シンポジウム演者:動物):
私は、先ほどお話ししたように、今回はノックアウトマウスの作製でお世話になりました。利用する立場からまず感じたのは、作製後の解析のノウハウが依頼する側に十分なければ、本制度がまったく機能しないということです。お願いするにあたって、自分たちの念入りな準備が必要でした。支援していただいた先生にご迷惑をおかけしないようにとの気持ちもありました。そういう意味で、今回の蓼科のような若手育成の機会をいただいたのは大変ありがたいと思います。
 関連して、なるべく、困難なものをこそ支援しよう、それで金メダルを狙おう、ということには非常に賛成です。ただそうすると、これはゲノム解析もそうかもしれませんが、解析・研究の主体が支援を与える側になる可能性が出てくると思います。繰り返しになりますが、それに負けないように依頼する側の十分な準備というものが、ますます要求されるのだなということを強く感じました。いずれにしても、今回支援をいただきましたことに非常に感謝していますし、今後もこういった枠組みが存続するというのは重要なことだと思っています。

今井:ありがとうございます。大変重要なポイントです。もう少し解析のところも、私共、申し込んだときには、もっといろいろなモレキュラープロファイリングの解析ということで申し込んだのですが、やはり予算に限りがあるということ、そして、もう一つは、やはり、どこまでが研究で、どこまでが支援かという、根源的な問題も提起されていると思います。しかしながら、金メダルを取るためには、大事な解析も手伝っていった方が早いということも事実ですので、今後も追求していきたいと私自身は考えております。よろしければ、次に、最後のお話をしていただきました、丸山先生、よろしくお願いします。

丸山治彦(シンポジウム演者:ゲノム):
支援をいただいた立場からなのですが、そもそも共同研究というかたちで始まりまして、それで、支援の途中で、直接、支援班の先生方とお会いしてお話をしたということが何度もありました。今から考えると、やはり、支援はホームページから入って、メールでやり取りをして、ということに一応なっているわけですけれども、実際、直接同じ机の向こうとこちらで話をするということは、やはり大事だったのだなということを、しみじみと感じております。
 それと、ラッキーだったのだろうと思ったのが、私がお願いしたものが、ベネズエラ糞線虫という、まったく世間に馴染みのない寄生虫ではあったのですが、ちょうどゲノムサイドが5,000で、ヘテロ接合度が高い媒体という、その辺りがおそらく、支援の先生のやる気を燃え上がらせたという側面もあったのではないかと思います。それがお互いにハッピーだったなと思います。
 実は今日、スライドの中では触れませんでしたが、実は新しい生物のゲノムというか、シークエンスをしますと、それまでまったく知られていない新規の遺伝子、新規のタンパク質が出てきます。糞線虫の場合は、糞線虫に特異的かどうかは分かりませんが、過去のデータベースに当たらない遺伝子が結構たくさん出てきて、しかもそれが、糞線虫は自由生活世代と寄生世代があると申しましたが、その寄生世代のみに発現しているということで、かなり、その1群の遺伝子、タンパク質というのは、糞線虫の寄生にとって大事だろう、ということが出てきたのですが、しかし、似た遺伝子もタンパク質もまったくないので、機能もなにも全然分からず、これをどうやって攻めるのかというところで止まっているという、実は一番おもしろいところに手を付けられないでいるという状態です。ですので、何か分子機能何とか支援があれば(笑)、せめて手がかりなりでもいただければ、というところです。
 それから最後に、これは言っても仕方がないことをあえて付け加えさせていただきますけれども、いろいろシークエンスは次世代だの何だのと出てきます。それは残念ながら、すべて外国の機械でやりまして、シークエンスすればするほど海外の会社が儲かって、自分たちの科研費がどんどん外国に出るという、ジレンマではないのですが、何か悔しい、ということがあります。これが仮に国内メーカーなどであれば、もう少し幸せに実験ができるのではないかということがありますので、プラットフォームももちろん、研究の基盤ということであると思いますが、その基盤の基盤、化学や工学のことが何かあれば、もちろん直近の話ではなく将来の話だとは思いますけれども、もっと幸せになるのではないかという、そんな感想を持ちました。

今井:ありがとうございました。それでは、一通りパネリストの方々のご質問やご意見をいただきましたので、フロアの先生方から、利用者の立場ということで、さらなるご質問、ご意見を、厳しいご意見でも構いませんので、ございましたら、どうぞ、よろしくお願いいたします。これから6年間、そして、その後もおそらく6年間、その後も6年間と文科省の方はおっしゃっていました。そのように長く続く支援ですので、すぐ叶えられないこともできる時代が来るかもしれません。何かご意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

藤田恭之:
新学術領域の細胞競合の領域長をしています、藤田といいます。今日は本当に、伺っていて非常にすばらしい領域が立ち上がったと思いまして、ぜひ、うちの領域のサポートもお願いしたいと思いました。聞いていて感じたのは、いかにこのすばらしいシステムに利用者を送り込んでいくかというところが非常に重要だということです。今のシステムは、どちらかというと、私たちがお願いするという、多少パッシブになっているのですが、できれば、そちらの領域の方が、ポジティブに、アクティブに、こちらの研究に対して、こういうことができるのではないかということを考えていただく機会があればいいのではないかと思いました。具体的に言うと、たとえば、うちの領域の、領域会議に来ていただいて、一緒にできることがあるかということを考えていただくなど、そういうことができれば、新学術領域同士の相互関係がより深まると思いました。

今井:ありがとうございます。実はお昼に、今年の新学術領域の領域長の先生方にお越しいただいて、私共のプラットフォームの説明をさせていただきました。新学術領域の代表者の方は金メダルに一番近い、われわれから見ると、ユーザーとして非常に重要な顧客ですので宣伝をしたわけですけれども、ただいまのようなご意見、本当にありがとうございます。なるべくそうしたいと思うのですが、手数が限られているということ、いろいろな制約があるということは先生もご存じの上でお話してくださったとは思います。こういう機会は、これまでは年に2回ずつやっていましたけれども、そうしますと、ここへ来ていただくと分かりやすいのですが、わざわざ九州や北海道から来ていただくのは大変ですので、もう少し、こちらが出向くというのも、もちろん1つかと思います。ですが、そうすると、こちらとしては平等にやらなければならないので、新学術領域だけでも20ぐらいありますから、現実的ではないかなという感じもします。でも、大変ありがとうございます。パネリストの先生方から、何か良いお答えはあるでしょうか。

上野直人(先端バイオイメージング支援プラットフォーム):
先端バイオイメージングの上野です。がん・ゲノム・脳と違ってバイオイメージングは、今年度から、この事業に参画する、ある意味新しいプラットフォームですので、やはり日本の多くの研究者に、こういう事業について知っていただく周知ということは非常に大事だと認識しております。すべての地域というのは無理ですけれども、主要な地域にわれわれが出向いて説明会をおこなうとか、とくに、画像解析などについて特に議論しているところなのですけれども、やはり全体的な研究の底上げを図るためには、要望に応じた支援と同時に、各施設のテクニカルスタッフの教育をして質を高め、各研究室の中でも若い学生さん、画像解析ができるような人材を養成するという方が効率的ではないかというご意見もいただいたりしています。そういったトレーニングコースも、日本の何カ所かで、できれば年に数回おこなえるような、そういうことも議論しているところです。

今井:ありがとうございます。それでは、よろしければ最後に、小原先生、狩野先生から、それぞれ今後の展望を簡単にお話いただければと思います。小原先生、よろしくお願いします。

小原:私は、宮脇さんが、顕微鏡は私物化するべきだとおっしゃったのが非常にピンと来ています。シークエンサーは、外国製品ではありますけれども、これを私物化というと語弊がありますが、使い方に関して、徹底的にカスタマイズをしていくつもりです。つまり、シークエンサーそのものは一緒なのですけれども、その前処理、後処理といったところが、やはりクオリティーなどに効いてきますので、まさにそういうことをしていきたいと思っています。それで、審査の過程でいろいろとヒアリングをすると、結構シークエンサーはいろいろな大学に最新のものが入っています。でも、オペレーターがいないとか、運転経費がないということで動いていないということがあります。また、外注はもちろん、いいこともありますが、高いということもありますし、やはり後の情報解析をやってくれないとか、量が少なかったらできないとか、結局、研究の場にはなかなか合わないということがあります。その辺りを、まさに私物化と言うと変ですけれども、前処理を本当に徹底的にして、研究費に合うようなかたちでやって、そのためには共同研究になると思いますけれども、そういうことをやっているということをお知らせしたいと思います。そうやっていければというのが最大のところです。

今井:ありがとうございます。では、狩野先生、いかがでしょうか。

狩野:先ほど、上野先生からお話がありましたけれども、今までに3分野がこの母体にあったのですが、イメージングというのは、ほとんどそれに入っていない新しい領域です。まずは、どういうことをやっているかを知っていただくということに、われわれも努力しようと思っています。たとえば、主要な学会で、こういうものがあるということを言う。それはおそらく、われわれだけではなく、ほかの領域の先生方も、たとえばブースを出すとか、そういう考え方はあると思います。

今井:実際、ホームページのリンクを貼るというような話はしています。

狩野:あとは、新学術領域は確かにそうです。われわれのメンバーで新学術領域に参加している先生方もたくさんいると思いますので、なるべく、そういう先生方に、その場でお話、アピールしていただくとか、いろいろと考えていこうと思っています。よろしくお願いします。

今井:どうも、ありがとうございます。それでは、だいぶ時間がなくなってきましたので、ここでパネルディスカッションとしては終了させていただき、最後に予告どおり、上野先生から、海外との支援の交流というか、そういったことを踏まえたお話を、スライドを使って5分ぐらいしていただきたいと思います。それでは、パネリストの先生方、どうも、ありがとうございました。一度下りていただきたいと思います。それでは、基礎生物学研究所の上野先生、よろしくお願いいたします。

上野:それでは最後にお時間を頂戴しまして、われわれの、先端バイオイメージング支援、アドバンスド・バイオ・イメージング・サポートということで、ABiS(エイビス)と呼んでおりますけれども、ABiSにおける国際連携についてお話させていただきたいと思います。
 今、私共が考えている国際連携の計画というのは、ヨーロッパにある、ユーロ・バイオ・イメージング、EUBI、これを基点に進めていきたいと考えています。ユーロ・バイオ・イメージングというのは、欧州生物学研究所、EMBL、その研究所を中心に7年ほど前から準備していた活動計画で、本年度から本格的に始動したバイオイメージング施設の欧州ネットワークです。これは、私が本日、先端バイオイメージングの説明の中でお話したように、今現在、バイオイメージングの共通施設が抱えているいろいろな諸問題を解決するために、欧州の国々がネットワークを構築して、効率的にバイオイメージングの施設を運用して、バイオイメージング研究、ひいては生命科学研究を推進しようという、そういう動きです。現在、この地図にドットで描かれています欧州の17カ国、29施設が参加しておりまして、光学顕微鏡、電子顕微鏡、画像解析分野をカバーしています。目的としては、研究者に最先端の顕微鏡施設を提供できる環境を整備し、専門性の高いテクニカルスタッフを配置すること、そして、利用者やプロバイダーなど、支援者側に対してトレーニングコースを実施すること、そして、この顕微鏡技術に共通の画像解析技術を提供し、同時にデータの保管共有といった、レポジトリー・リソースシステムを構築管理すること、これらのことを目的として構築されています。現在、われわれの支援事業のスタートと時を同じくして、このユーロ・バイオ・イメージングは、グローバル・バイオ・イメージング、GBIという、さらに大きなグローバルなネットワークの構築に取り組んでいますので、それについてご紹介します。
 このユーロ・バイオ・イメージングをいわばハブとして、日本、インド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン、アメリカ、こういった国々からまずネットワークを構築しようということなのですけれども、既にオーストラリアでは2施設、インドのバイオ・イメージング・ネットワークは正式に連携協定を結んだインターナショナルパートナーとして既に参画しています。今、ユーロ・バイオ・イメージングの方から私共の方に声がかかりまして、こちらで検討して、基生研の所長名で、サポートレターを書いた段階です。こういったアルゼンチン、日本、南アフリカ、アメリカといった国々も、今現在、アソシエーテッド・インターナショナルパートナーとして協力しているところです。特に日本においては、インフラストラクチャーのコーポレーションとして示される、トレーニングコースを同時に開催するなど、お互いのテクニカルスタッフの教育をおこなう、あるいは教育プログラムを共有するといったこと、それに対して、逆方向の矢印がここにありますが、先ほどからお話がいくつか出ているように、日本というのは非常に光学企業が非常に進んでおりますし、また、生命科学における大学とのバイオイメージングが非常に進んだ国だというふうに認識されていますので、ヨーロッパへのテクノロジーデベロップメント、あるいはトランスファーといったものも同時に期待されており、来年から正式なメンバーとして参画できないかという打診を受けているところでして、来年2月に岡崎で開催されるABiSのシンポジウムに、このユーロ・バイオ・イメージングの代表者含め2〜3名が、説明に来たい、日本のバイオイメージングとぜひ連携したいという話を伺っているところです。
 これは、6月に、この連携推進協議会の活動の一環として私が参加した、このグローバル・バイオ・イメージングのエクスチェンジ・オブ・ザ・エクスペリエンスという、実績に基づく情報交換の会議でして、バイオイメージングの施設運営、ネットワーク化の現状、今後このネットワークを通じて、どのような連携をしていくべきか、具体的にイメージング施設のスタッフのトレーニングであるとか、イメージデータの管理、この画像解析とイメージデータの管理というのは、非常にバイオイメージングの中では重要な部分だと認識されていまして、その議論にかなり時間を費やしたわけですが、このイメージデータの管理、そして医学データの匿名化の手法、そういった具体的な方策について意見交換をおこないました。3日目も、イメージデータ管理について、かなりの時間を割いて議論したのですが、それに加えて、スタッフマネジャー、テクニカルスタッフの教育プログラム等々についても、時間をかけて議論をしました。まだまだ、このグローバル・バイオ・イメージングは始まったばかりですけれども、こういった国際連携のネットワークに参画することによって、最先端のバイオイメージング技術の導入と同時に、日本の誇る技術のトランスファーが可能になってきます。ですから、わが国のバイオイメージングだけではなく、グローバルな発展を見据えた活動として位置付けることができると思います。
 光学顕微鏡、画像解析、電子顕微鏡については、今お話したとおりなのですけれども、機能的MRIについても、生理研を中心に国際連携を進めていまして、特にニューロスピンという、これはフランス原子力代替エネルギー庁の基礎研究部門としてできた研究機関で、超高磁場MRIを用いた脳研究の研究機関です。
 2007年に設置されて、ヒト用3テスラ、7テスラ装置を用いて、脳科学研究を進めておりまして、現在、ヒト用11.7テスラ装置の開発を先導していると伺っています。生理学研究所は、中期計画に基づいてヒト用7テスラ装置を導入して、このニューロスピンと連携することによって脳科学研究を推進することになっていまして、この10月にも正式な連携協定を締結すると伺っています。
 そのほかにも、チューリンゲン大学との国際連携があり、これはシステム神経科学に強みを持った、ウェルナーラルハイト総合研究所との合同シンポジウムを開催したり、また、非常に重要なことなのですがイメージング関連企業との連携、具体的には各分析機器分野をリードするブルカー社、小動物用MRI装置で圧倒的なシェアを誇る企業ですが、そういった企業との情報共有を行うことを計画しています。この10月には生理研のプラットフォームの先生方が、同社拠点を訪問予定と伺っています。
 このような国際連携を通して、われわれの支援技術そのものも、常に最先端に保っていき、またわれわれも国際貢献ができるようなことを期待しています。以上です。

今井:上野先生、どうも、ありがとうございました。発足早々、ヨーロッパに飛んでいただき、こういう画期的な国際連携の足場を作ってくださり、大変感謝申し上げます。ありがとうございました。今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。それでは、本日の行事はすべて消化いたしました。皆さまにおかれましては、お昼から大変長時間にわたって、この生命科学連携推進協議会の発足記念のキックオフシンポジウムにお越しくださり、活発なご議論をいただきましたことを心から感謝申し上げます。この支援プラットフォームを使っていただいて、金メダルを出していただきたいというのがわれわれの願いですので、これをもって閉会のあいさつに代えさせていただきます。本日は、どうも、ありがとうございました。